9.25.2009

八ッ場ダム建設中止を支持します

八ッ場ダム東京訴訟に関わって、ダム最大の問題点は、「造ること自体がもったいない」に対して「住民の意志は踏みにじる」旧建設省河川局以来の国の姿勢だった。 
「工事の7割はすんでいて、あと3割の予算を投入すればダムが出来る」が、マスコミによって垂れ流されているが、まったくの嘘だ。これは4600億円の予算をすでに7割使用したということに過ぎなくて、工事の進捗率とは何の関係もない。 当初の計画予算では、半額以下の予算で建設されるはずだった。しかし、総工事費を4600億円にひきあげても、この金額で完成すると断言している人は誰もいない。工事が6年後に終わるという説明にも無理があり、竣工がのびのびになれば、実際の総工事費はどこまでふくらむかわからない。 
草津温泉の湯は強酸性であることから、川の水も酸性となるので、草津温泉上流の水質は、飲用には適さないことが分かる。このダムが計画された頃、酸性ならば中和しようということで、当時の建設省は草津温泉に中和工場を建設した。中和工場とは酸性の川に「石灰」を投下していって、水質を中性化するもの。しかし、酸性の水を石灰で中和するとドロドロの石灰生成物が出来てしまう。だから、この中和生成物(ヘドロ)を貯めておくダムが必要だと品木(しなき)ダムがつくられた。1963年(昭和38年)に中和工場が完成し、1965年(昭和40年)にはこの品木ダムが完成している。 
  八ッ場ダムが止まれば「日本が変わる」ことの先例を作ろう。総額1兆円にも届きかねない大型公共事業は55年前に企画され、激烈な反対運動を巻き起こしながら「半世紀」のスパンで動いている公共事業である。八ッ場ダム事業こそ総事業費と関連事業費をあわせて9000億円という究極の無駄な事業である。そして、品木ダムにおいては、深さ40メートルのダム湖には中和生成物と土砂が溜まり、7~8メートルの水深になってしまい、1985年(昭和60年)から石灰浚渫船を湖面に浮かべて一日60トンの中和生成物と土砂のヘドロを浚渫している。これを脱水・圧縮する工場が建設され、またダンプが横付けされて山に捨てにいくといことが営々と続けられている。 
 何のために中和事業(年間10億円)が発案されたのかと言えば、八ッ場ダムを建設し「首都圏の水ガメ」とするためだったのだが、この「利水」についてはまったく需要がなく、現在ではダム建設目的から外れている。このダムは「治水」のために50年かけてつくられようとしているが、実は防災上ダムの存在が水害をもたらす危険性が高いことが従来から指摘されている。 地元住民の苦悩の歴史の上に、この問題の本質がある。地元住民のこれからも考えて、保障していかなければいけないこともあるだろうが、中止すべきである。 
 急峻な日本の川にダムを作ってきた日本の治水、利水の方法が今問われている。

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